ソウルの600年が、数ブロックに詰まってる
600年、ソウルはここを中心に回ってきた。それが目に見える街 — 宮殿、屋根つきの市場、創業60年の麺の店、職人の工房、若いデザイナーのスタジオが、同じ数ブロックの中に全部ある。ここほど時代が幾重にも重なった場所はない。ひとつだけちゃんと歩くなら、この街。
写真なし、星の評価なし — 友達に話すことだけ。ソウルに住んでる僕が実際に通う場所が、この街に47か所。
ガイドを開く1905年から続く、韓国初の常設市場。人を集めるのは食堂横丁だが、僕はまず、もっと静かな場所から案内する。
まだ行けてないが、広蔵市場の路地の上、4階にあるルーフトップのブランチカフェ。屋上は庭になってる。
朝鮮王家の霊廟にしてユネスコ世界遺産。500年分の王の位牌が、簡素で長い一棟の正殿に並ぶ。
60年、一品だけ。刻みにんにくの山をかぶった、にんにくタットリタン(鶏の辛い煮込み)。
鍾路のポッサム横丁の古株。30年経ったいまも、注文するとカムジャタンが無料でついてくる。
統営(トンヨン)から産地直送の牡蠣と、臭みのないスユク(茹で豚)。ポッサム横丁に根を張って30年。
ポッサムを頼んで、無料の鍋を選ぶ — カムジャタンかタットリタン(鶏の辛い煮込み)。この店ならではなのは後者だ。
鍾路のヤジャン通りに並ぶ焼き台。塩焼きの豚、漬け込みカルビ、ユッケ、夜風込み。
牛骨だしのカルグクスと、いつもの葉じゃなく生の白菜で包むポッサム — それで60年やってる。
まだ行けてない。フードを置かない主義の小さなウイスキーバーで、棚はインディペンデント・ボトラーズに強い。看板はTRPとだけ。
会社員御用達のチェユク・サムパプ。甘辛く香ばしい豚、テンジャンチゲ、蒸し卵、包み野菜の籠までひと盆に。
ソウル初の近代公園で、1919年の独立宣言が読み上げられた場所。中心にはガラスに納められた大理石の塔。
昼は一択、店先の炭火で焼くコチュジャンプルコギ。日が落ちるとつまみの店に変わる。
1974年創業。ウインナーコーヒー、壁一面のアンティークのミル、そして『応答せよ1988』のあのカフェ。
まだ行けてないが、鐘閣そばのセントロポリスに入った、平日だけのサンドイッチとフィナンシェの店。
まだ行けてない。YMCA裏の路地でジョン(チヂミの類い)とマッコリ — 昔のピマッコルの空気が残る店。
釜山のテジクッパ(豚のスープごはん)が北上してきた。スープは澄んだのと濃いのから選んで、石と木の静かな店内で。
ソウルの飲食店営業許可1号。1904年からのソルロンタンで、骨はほぼ丸一日炊いてる。
平日の昼だけのカルグクス。煮干しだしで肉は入らず、列はいつも途切れない。
曹渓宗直営、かつてミシュランの星を持った精進ファインダイニング。完全ヴィーガンで、にんにくもネギも使わない。
メミル(蕎麦)麺とふぐの二枚看板。肉料理は豚のポッサムひとつだけ。
まだ行けてないが、床から天井までLPが2万枚。全席にプレーヤー、チケット1枚で時間無制限。
有機農場直送の韓国料理に、完全ヴィーガンのコース。ミシュランのビブグルマンとグリーンスターに何年も選ばれた実績がある。
ミシュラン掲載の豚スープの店、アナムが手がける一軒。昼は鬱陵島(ウルルンド)アザミのヘジャングク(酔い覚ましスープ)、夜は炭火のつまみと焼酎。
三代続く開城(ケソン)マンドゥ。ビブグルマンの常連で観光客も多いけど、それでも行く価値あり。
外国の友達と来るなら、仁寺洞でまず外さない店のひとつ — ソッパプ(釜飯)と、看板のテンジャンチゲ。
旌善(チョンソン)から来たコンドゥレ(江原道の山菜)ごはん。ケジャンにチェユク(豚肉の辛炒め)、家庭料理のおかずまで一面に並ぶ。
階上の店で何十年も続くテンジャン(味噌)ビビンバ。あとになって、ふとまた行きたくなる店。
平壌ムル冷麺の重鎮が楽園洞に移ってきた。スープは昔のまま、列はようやく屋内に収まった。
魚卵と白子とワタを辛く仕上げる、酒飲みのたまり場。肉は一切なく、全部が海のもの。
楽園洞と仁寺洞のあたりで豚を焼くなら、僕の答えはこのレトロな一軒。店で切り出す生カルビ(タレなしの生肉)を鋳物の鉄板で。
年季の入った店の平壌ムル冷麺。高くつきがちなこの沼の、いちばん手頃な入り口。
まだ行けてないが、韓屋を改装したカンジャンケジャン定食の店。海鮮のセットが一本きり、主役は蟹。
まだ行けてない。1961年からの酒場で、74年に最年少で入った人がいま店を回してる。
まだ行けてない。モダンな韓国料理に、充実した伝統酒のリストを合わせる韓屋のダイニングバー。
まだ入れてない。広東式がベースの益善フュージョン中華で、いちばんの難所は予約。
タクメウンタン(鶏の辛いスープ)を煮込みじゃなくスープとして — そのスタイルを広めた益善の店。
まだ行けてないが、温泉がテーマの韓屋しゃぶしゃぶ。小さな白いクマがスープに溶けていく。
まだ行けてない。韓屋でスフレトーストと竹せいろの蒸しパン — のちに海外へ出たブランドの本家。
まだ行けてない。炭火から下ろす手ごねの韓牛ハンバーグに、ソッパプ(釜飯)を添えて。ひとり1セットの店。
聖水(ソンス)で行列ができる永宗島(ヨンジョンド)の塩パン屋が、益善にも。こっちは列が短く、外のテーブルまでほんの一歩。
80年代末からの手打ちカルグクス。生地は戸口でこねて、だしは煮干し。
1940年代初めからのコリコムタン(テールスープ)、24時間営業。骨つきで出す「タグィ」という一皿もある。
伝統酒だけ、宗廟の石垣に寄り添う小さな店。たいてい予約で埋まり、リストは各地にわたる。
旧旅館テリムジャンに入った海鮮ポチャ(屋台酒場)。古い看板もそのままに、刺身と貝と焼酎。
韓国屈指のクラフトブルワリー。原点のタップルームで、ファームハウスエールと自家ラガーを注ぐ。
石灯籠と古い家具の並ぶ、鑑定人のギャラリー。韓国の古美術を、昌徳宮(チャンドックン)のそばでまっとうに商う。
狙い目と入り方はガイドの中にある — 行列が短い時間帯、入り口でのコツ、韓国の電話番号がいる予約まで。
北村・安国はエリアまるごと無料。払う前に、僕を信用できるか確かめられる。
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